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文部科学省、社会教育士noteはじめました! ー「社会教育」を様々な角度からお届けしたいー

私たちは、「社会教育士」制度の活用促進をミッションにしている文部科学省のプロジェクトチームです。
最初の投稿となる今回は、この社会教育士noteを通してどのようなことをお届けしていきたいかについてお話しします。

社会教育士ってなに?

私たちのまち、暮らしには、さまざまな課題が山積しています。たとえば、コミュニティの希薄化、空き店舗が増える商店街、子育てや介護が生む孤立、居場所や出番がない子ども・若者、災害から命を守る防災の備え、国籍の違いや障害の有無などによる分断など・・・。

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私たちを取り巻く地域の課題を解決し続けていくためには、 一人ひとりが当事者意識を持って、 地域活動や市民活動に参画することが求められています。 

しかし、  自分たちの暮らす地域を面白くしたい、 新たな人ともっと出会いたい、 多様な人ともっとつながりながら活動したい、 という前向きな気持ちになれるきっかけが地域にたくさん存在していなければ、大人も子どもも、そして地域も成長していくことはできません。

このきっかけにあたる取組を、人々の自由で自発的な学習活動を支援する「社会教育」という分野では、「学び」と呼んでいます。こうした「学び」を社会のいたるところにたくさん仕掛け、豊かな地域づくりへの展開を支援する専門人材が、社会教育士です。

地域、社会、世界で解決が目指される多様な課題に取り組む地方公共団体の各部局や、NPO、企業、学校などの他、地域活動やボランティア活動などにおいても、今後、社会教育士が活躍していくことが期待されています。

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社会教育士noteでお届けしたいこと

・・・というような感じで社会教育士制度がスタートした昨年度から1年間、私たち社会教育士プロジェクトチームは、社会教育士の活躍が期待される行政や企業、NPOなどのあらゆる場所において、まずは、社会教育士になった方が「私は社会教育士です!」と言ったら通じるようになることを目標に、社会教育士について知ってもらうためのPR動画や特設サイト、ポスターの作成などの広報活動をメインに取り組んできました。

昨年1年間、広報にあたって意識した点は、社会教育の専門人材である「社会教育士」の説明をするにあたっては、そもそも「社会教育」という分野自体があまり知られていないという前提に立つことです。社会教育を知らない人にも分かりやすいように説明すること、そして社会教育士の広報を通じて、社会教育の役割が見直され、社会教育全体の振興につながるようにと思って取り組んできました。

そこで、この社会教育士noteでも、社会教育士の活躍を中心に紹介しつつも、社会教育士だけでなく、全国の社会教育現場や社会教育に関わる人などについても紹介し、「社会教育」を様々な角度からお届けしていきたいと考えています。


なぜ文部科学省が学びを通じた「地域づくり」をしているのか。

この記事の冒頭で、社会教育士について、

「学び」を社会のいたるところにたくさん仕掛け、豊かな地域づくりへの展開を支援する専門人材が、社会教育士です。

と紹介しました。

文部科学省と「地域づくり」、意外に思った方もいるかもしれません。「学び」を仕掛けることで地域づくりを支援するとはどういうことでしょうか。

地域づくりにおいて「学び」が求められる場面は、まず、地域の課題を地域の人が自分ごと化していくというところです。自分とは関係がないと思っていたことを自分ごと化していくというプロセスの間には「意識の変化」が起きています。そして、人の意識というものは誰かにお願いされたり、教えられたりして変わるものではなく、「学ぶ」ことによって自分の中で腹落ちして初めて変わるものです。そういった意識の変化を起こすには「学び」が必要で、「学び」を仕掛けることが地域づくりにおける社会教育のアプローチです。

そのため、「学びを通じた地域づくり」において社会教育がしていることは、何かの地域課題を解決するための専門人材を地域につれてくることでも、解決するための手順を地域の人に示すことでもなく、課題が自分ごと化されて自ら地域課題の解決に取り組む地域の人たちを増やしていくことなのです。そのため、社会教育的な働きかけは、1つの地域課題が解決されたらそこで活動が終わるようなものではなく、一旦地域のことが自分ごと化されていることで、その後も地域活動に自ら参加していく住民を育むというような持続的に展開していくものになります。

ここまで、地域づくりという場面における社会教育の役割について説明してきましたが、誰かをプロジェクトに巻き込んだり人と人や組織と組織をつないだり何らかの課題を取り巻く人々に課題について自分ごと化してもらうために働きかけたり、といったことは、あらゆる場所で必要とされていることではないでしょうか。そういった場面で、「学び」を仕掛けていくというアプローチを取るのが社会教育です。


そもそも、なぜ社会教育について知って欲しいのか。

「このnoteで社会教育を様々な角度からお届けしていきたい」と書きましたが、最後にそもそもなぜ社会教育を知って欲しいのか、についてお話しします。

全国で起きている課題、それに対して社会教育が提供できることは多い、色んなところで社会教育的なアプローチが必要とされていると思いつつも、社会教育を必要としている人たちに社会教育を知ってもらえていないのではないかと思っていました。

社会教育は、例えるなら「手法」や「機能」のようなものであり、学校教育のように学習指導要領で学ぶ内容が提示されているものでも、対象年齢が決まっているものでも、福祉・防災・観光というような特定の課題があるものでもありません。地域の課題によって、また、地域の人のニーズによって、全国の社会教育現場で行われている活動や、社会教育士たちの活動はさまざまです。

たとえば、子供・若者の居場所作りに課題を抱えている地域は居場所作りに社会教育的なアプローチを、人口減少の課題を抱え移住促進をしている地域は移住者の受け入れ環境作りに社会教育的なアプローチを、はたまた、他の地域では防災のまちづくりや観光おもてなしのまちづくりに社会教育的なアプローチを・・・など。

上記のような場面において、社会教育の存在は時として「黒衣」のようなものです。社会教育的な働きかけが、そのまま社会教育の成果として表に出ることは多くありません。誰かの成果として出ている裏側を「学び」を仕掛けることによって支えるような役割を担っています。

そのため、社会教育という分野は評価されにくく、成果も「社会教育の成果」としては見えにくいという現状もあり、そのことも「社会教育」の認知度の低さの一因だと考えられます。

そこで、このnoteを通して、身の回りにあってもなかなか見えてこない「社会教育」を見える化して届けることで、みなさんの抱える課題や実現したいことに対して、社会教育的なアプローチを提案したいと思っています。

もちろん、社会教育は万能薬ではないため、社会教育について知った後で、求めているものと違った、社会教育ってやっぱり興味のない分野だったと思ってもらうことは構いません。私たちは、まず、「社会教育」を知らない人に「社会教育」という選択肢について知っていただきたいのです。

社会教育は特定の分野を選ばず、オールラウンドで活かすことができます。特に、NPOに就職する若者や、まちづくりやSDGsなどのソーシャルな活動に関心のある若者が増えている今、社会教育に興味を持つ人は若い世代にも多いと思っています。

こんなに、社会教育について知って欲しいと思うのも、全国の社会教育に携わる人たちにお会いしてきて、その方達の取組の素晴らしさ、社会教育の専門人材としての卓越した手腕、そして、その方達自身の魅力に触れてきたためです。「社会教育の現場って、大変なことも多いけど、こんなに面白いんだ」となかなか現場を持つことが叶わない私たちに、社会教育そのものの面白さや奥深さを教えてくれました。

そんな社会教育に魅せられた文部科学省若手職員、全国から文部科学省に出向している社会教育主事として活躍してきた自治体職員を中心としたメンバーで構成する社会教育士プロジェクトチームが、この社会教育士noteを書いていきます。

今後お届けする記事に載せた、私たちの「社会教育って面白いよ!」という声に耳を傾けていただけたら幸いです。


※社会教育に興味を持った方は、ぜひPR動画や特設サイトも見てみてください。


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